出典 ダイレクト出版株式会社
【瞬間のちから】は、ダイレクト出版の月刊ビジネス選書です。
結論から言うと、この本は読むべき良書でした。
タイトルの【瞬間のちから】のタイトルの帯には、
記憶に残る体験を意図的に作ろう!
そうすれば、人を喜ばせながら、利益も上げられる!
と書かれています。
これがまさしくこの本の意図とするところでしょう。
『体験を意図的に作る』というのがポイント。
あなたにも、幼かった時の楽しかった記憶や鮮やかに蘇る記憶の一つや二つがあるのではないでしょうか?
そのような『瞬間』をあなたは誰かからもたらされて、それがあなたの中での大切な記憶となっています。
その『瞬間』をもたらしてくれた方は、意図的にその『瞬間』を作って、あなたを喜ばせたのではないかもしれません。
でも、この本は、あなたがその『瞬間』作りあげる側に立って提供する方法を紹介しています。
この方法は、仕事の利益を上げることはもちろん、家庭や職場での人間関係にも活かせる具体的なものであって、人生の質を高めていくものと言えるものです。
それでは、早速レビューに入りましょう!
目次
なぜ、あなたは楽しかった『瞬間』を覚えているのだろうか?それはなぜ?その秘密は?
まず、あなたが過去において、楽しかった、嬉しかった、誇りに思った瞬間を思い出して下さい。
そして、その感情に浸ってみてください。
いいですか?
準備はできましたか?
その決定的瞬間には、次の4つの要素から成り立っているはずです。
それは、高揚、気付き、誇り、結びつき、です。
一つ一つ説明しましょう!
高揚
これは1番わかりやすいでしょう。
楽しい、嬉しい、ウキウキするといった感情の高まりです。
ディズニーランドでの旅行の思い出、サプライズされた思い出がその例になるでしょう。
気づき
気づきは自分の認識の大きく変えた決定的瞬間です。
ですから、この気づきの瞬間が訪れるときは、困難な状況のことが多いかもしれません。
病気をして気付いたこと、自然災害で被災し気付いたこと、失敗から気付いたこと、などが当たりますね。
教訓になった出来事とも言いかえることもできると思います。
誇り
誇りは目標を達成したり、勇気を出して何かを成し遂げた決定的瞬間です。
オリンピックで優勝した、大学受験、資格試験に合格した、これらは達成感から生まれる誇りです。
或いは、
『あがり症の人が人前でスピーチをした!』
という経験は、『えいやーっ!!』という勇気、そして、怖さを乗り越えやり遂げた達成感の両方ある例だと思います。
結びつき
これもわかりやすいですね。
人は人と関わることで喜びを得ることができます。
つまり、結びつきは他者との関わりから得られる決定的瞬間ですね。
結婚、看護師さんと患者さんとの関わり、友人からのサプライズなどが、これになるでしょう。
あなたに思い出していただいた思い出には、高揚、気づき、誇り、結びつき、のどれが入っていたでしょうか?
今ここで確認してみてください。
全て入っていたでしょうか?
一部だけだったでしょうか?
【瞬間のちから】では、このような決定的瞬間をどのように作り出して行くか、という方法も示しています。
『決定的瞬間』を意図的に生み出す3つの状況とは?
繰り返しになりますが、相手の人生において記憶に残る『瞬間』を意図的に仕掛けるのは、あなたです!
喜びや誇らしい経験を相手の人生にもたらすプロデューサーとも言えますね。
そのためには、人が大切にするタイミングを知ることが必要と本書には書かれています。
あなたの経験と照らし合わせながら、次の3つの状況を考えてみて下さい。
転機
転機の例として、成人を迎える、入社初日などが当たります。
本書では具体例として、世界最大の農業機械メーカーの『入社初日プログラム』を取り上げ、どのようにして従業員の意欲を高めたのかについて説明しています。
今勤めている社員が、『一旦やめて、戻ってきてもいい?』と冗談をいうほどに、みんなが受けたいと思うプログラムだったそうですよ。
もし、あなたが会社で新人育成を担当しているなら、参考になると思います。
つまり、大切な瞬間として着目すべきなのが『転機』であることを覚えておいて下さい。
節目
二つ目は『節目』です。
日本では様々な節目の儀式があります。
金婚式、銀婚式、還暦、古希、喜寿、米寿、卒寿、白寿・・・などがありますよね?
あなたも自分でお祝いをしたり、両親のお祝いをしたりしたことがあるのではないでしょうか?
これは、一般的に知られているものですが、節目はアイデアで作り出すことが可能です。
若い恋人同士であれば、『付き合い始めて100日目』などを考えてサプライズのプレセントをすれば、これは『決定的瞬間』になりますね?
その『決定的瞬間』により、2人の結びつきは強くなることは、容易に想像できるのではないかと思います。
最悪の事態
3つ目は『最悪の事態』。
個人的にはここでの例に私が感動しました。
MRI検査の恐怖を楽しみに転換させた例です。
MRI検査は大人でも恐怖に耐えられない人がいるくらいに特殊な検査です。
狭いトンネルのようなところに30分くらいじっとしていなければいけません。
しかも、その間中、カンカンカンという、まるで工事現場のような大きな音を聞き続けなければならないのです。
この検査を子供が受けるのは怖いですよね?
母親も子供の怖がる姿をみて、涙が出てしまうかもしれません。
担当者は考えました。
MRIを宇宙船や潜水艦のイメージにしたらどうだろう?と。
このように考えて、MRI検査をアトラクションのように演出していったのです。
子供達は、MRIという『乗り物』に乗り込む前に、チケットを購入します。
そして、そこから検査室までは冒険の道が待っています。
床には石に見立てたステッカーがあり、壁はジャングルが描かれ、子供達はその石を踏んで越えていきます。
検査室にたどり着くと、そこには『宇宙船』があります。
そう、MRIの検査台は『乗り物』に乗る瞬間ですね。
検査台をカヌーに見立て、子供達が揺らして動かないように工夫を凝らします。
検査音はケーブルカーの音に見立てて不安をそらします。
こうして、子供達はアドベンチャーを楽しむ形で検査を終えるのです。
恐怖を楽しみに変えるのは簡単に思い浮かぶことではありません。
でも、子供の心に真剣に寄り添えば、その方法というのは見えてくるものだと思います。
『決定的瞬間』を作るということは、相手のことを思ってをする利他の心、私はそう思います。
人生を豊かにする、相手との結びつきを強くする、記憶に残る思い出を作る、これらを意図的に作るのが『瞬間のちから』のキモ。
あなたの人生も豊かにしてくれるはずですので、あなたの人生に取り入れてみてはいかがでしょうか?
まとめ
- 決定的瞬間は、高揚、気づき、誇り、結びつきの4要素から成る
- 決定的瞬間を作るには、転機、節目、最悪の事態という3つの状況に注目すること
- 決定的瞬間を作るのは利他の心。仕事上の利益が上がるのも、あなたの顧客があなたのファンになるのも自然のことである
- 決定的瞬間を意図的に作ることによって、お互いの人生は豊かになる